レミリアの幻想郷に至るまでの過去を西洋史に絡めて描く「レミリア・スタコージウ」 シリーズの最新刊。
プレビュー版がでてからどれだけ待ったことか。
待っただけの価値がある内容でした。
幼きころのレミリアとフランドールの始まり物語です。
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「ストリゴイの夜」のあらすじ
レミリアとフランドールが幼き頃はどのような暮らしだったのか。
そして人であった彼女らはなぜその身を吸血鬼へと変えていったのか。
ワラキア公ことヴラド三世の庶子として生を受けたレミリア。
母が庶民のため影に隠れるように生きるレミリアはヴラド三世の衰退に伴い過酷な人生を送ることに
序章はメロンブックスDLで無料で公開されています
レミリアとフランドールの名前の由来がすごい
このレミリア・スタコージウシリーズでは紅魔館の主:レミリアが幻想郷に至るまでの物語を西洋史と絡めながら紡いでいるんですが、どの作品も時代考証がすごい。
作中に出てくる宗教観、儀式、登場人物の名前などなど、どれだけ調べたんだってくらい詳しいです。
僕は世界史には明るくないので「あーその時代にありそう」ってくらいのほんわかした認識なのですが、わかる人が読んだらめっちゃ調べてんなってなります。
そしてそれを東方キャラの設定にいかに合わせるか。
レミリアとフランドールの名前の由来が明かされるとこ(特にフランドール)がすごかったので、そこの部分だけでも読んでほしいです。
時代にそぐわない二人の名前をいかに当時の価値観で名付けられるように補強するか。
当時によくあった名前からどう関連付けて持ってくるのか。その時代によくある名前とかそのときの人々の価値観だとかをよく知ってないとできない芸当です。
ほんとどれだけの資料を読み込んだのか。めっちゃ面白いです。
歴史小説としての重み
今作は基本的にヴラド三世の史実に沿って物語が進んでいきます。残念ながら僕の知識では串刺し公という異名くらいしか知りませんが。
物語の半分くらいはヴラド三世の境遇と彼がいかに苦悩しながら妻や娘に接してきたかに割かれています。
串刺し公と呼ばれ恐れられたヴラド三世ですが、史実を見れば決して華々しいものではありません。
一時的に敵軍を撤退させることにできてもそれが続くわけがありません。その後どんな目にあってきたのか、この小説で初めて知りました。
東方要素なしでヴラド三世を主人公にして物語を書き上げてもすごく面白いものができそうな気がします。
父親ではなく一国の王として裁定を下すヴラド三世の在り方だったり。それでも周辺国に翻弄される生活のことだったり。
そこに東方要素をねじ込む筆力がほんとすごいです。読み応え抜群。
レミリアのフランドールへの愛情の深さ
お姉ちゃんであるレミリアは腹違いの妹であるフランドールにめっちゃ献身的でした。それまでの境遇を考えたら仕方ないですけどね。
冷遇され愛する母を失ったレミリアが心を許したたった一人の家族。
動けない妹のために頑張っちゃうレミリアかっこいい。
それにしてもレミリアの羽の元があれからできてるなんて作者の着眼点すごいです。
5歳年上のはずのレミリアの背丈がフランとほとんど変わらない理由とかも、そうつなぎ合わせるのかってびっくりです。
おわりに
ツイッターを見る限り著者さんが大変そうで半ば読むの諦めてたんですが、
本を書き上げてくれてありがとうございます!!
めっちゃ面白かったです!
レミリアの過去を描く作品でこのシリーズ以上にすごいの出ないんじゃないかってくらい。
咲夜やパチュリーがまだ出てきてないので、このレミリアとどのように出会うのか読んでみたいです。
貴城はつさんの作品は西洋歴史と東方の原作との融合がすごい!
同人誌ではなく西洋歴史小説を読んでるんじゃないかってくらい濃厚な作品です。多くの人に読んでほしい!
別記事でどんなにすごいかをまとめました!
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