『ダヴィンチコード』のラングドンシリーズで有名なダン・ブラウンの初期の作品です。
久しぶりの海外作家の本でした。
様々な知識を過不足なく詰め込んだ濃厚なストーリー、どんでん返しばっかりの息もつかせぬ展開など上下巻でしたがあっというまに読めました。
本の詳細・あらすじ
デセプションポイント/ダン・ブラウン(角川文庫)
(上巻あらすじ)
国家偵察局員レイチェルの仕事は、大統領へ提出する機密情報の分析。現在、ホワイトハウスは大統領選の渦中にあり、現職と争っている対立候補は、なんと彼女の父だった。選挙戦はNASAに膨大な予算を費やす現政府を非難し、国民の支持を集めている父が有利に進めていた。そんなある日、レイチェルは直直に大統領から呼び出される。NASAが大発見をしたので、彼女の目で確かめてきてほしいというのだが…。
(下巻あらすじ)
状況が飲み込めないままレイチェルが連れて行かれたのは、北極だった。氷棚に埋まった巨大な隕石から等脚類の化石が大量に発見されたのだ。これは地球以外にも生物が存在する証拠であり、まさに世紀の大発見だった。選挙戦は一気に逆転し、大統領が対立候補の娘である自分を情報分析官に選んだ理由を悟る。だが、科学者チームと調査を進めるうちに、レイチェルは信じられない謀略の深みにはまりこんでゆく…。
世紀の大発見を根底から覆す!!
NASAが北極で発見したのは強大な隕石だった。
しかもただの隕石ではなくその隕石には生物の化石が。
地球外生命体が存在することの証明だ!!と世界中が大興奮の渦に巻き込まれるなか、その調査に協力していた民間人の学者たちが些細な違和感に気づきます。
それぞれ専門が違う学者たち。彼ら一人だったら誰も気に留めてなかった違和感ですが、それぞれの専門の目で見ると些細な綻びは次第に確信に変わっていく…。
専門知識がばんばん出てきますが、不要んな情報は一切なくすっきりしていて読みやすいのはさすが。
ラングドンシリーズは宗教のこと知ってた方が面白いけどこっちはそんな前知識がなくても楽しめました。
隕石を隕石足らしめている要因が一つずつ崩れていくさまはドキドキワクワクです。
形勢逆転しまくる政争も読み応え抜群!
そしてこの作品のポイントは科学の知識に裏付けされた謎を一つ一つ暴いていく裏側で大統領選挙が行われている事です。
現行大統領がNASAを支持しているのに対し、対立候補のセクストン(レイチェルの父親)は「NASAにかかる費用は無駄だ」という主張でここまで上がってきています。
僕の中のセクストンのイメージはトランプ首相でした(笑)
政争は主にセクストン陣営の話が多かったですが、別にセクストンは主人公の味方というわけではありません。むしろ打倒すべき敵です。
過去に起こった些細なミスをことさら大きく論じて世論を味方につけようとしたり。スキャンダルをネタに相手をゆすったり、「将を射んと欲すればまず馬を射よ」のことわざみたく周りにいる人から崩していったりと、あの手この手で仕掛けてきます。
面白いのはこの政争はどちらが勝つのが最善なのかが終盤までわからないこと。
現行大統領はNASAの大発見を巻き返しの切り札として使ったが、レイチェルたちはそこに疑惑を持ったため命を狙われることに。
この策略には大統領は関わっているのだろうか。関わっていたら国民全員をだますことになる。
かといって対立候補のセクストンは自分の為なら亡くなった妻もレイチェルが死の危機に瀕していることもすべて利用しようとする野心の塊。しかもNASAを敵視するのは違法な献金を受け取っているからだという噂まである。
誰が正しくてどちらを信じればいいのか。目まぐるしく変わっていく形勢に先が読めずにページを捲る手が止まりませんでした。
上下巻で800頁くらいあるのですがそんな分厚さを物ともしないくらいの面白さでした。
外国作家ってあんまり手を出したことないから今後探してみようと思います。
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