学生の頃大ハマりした「狼と香辛料」
昨年、このその後を描く短編集「Spring Log」とコルとミューリによる第2世代の新たな旅「狼と羊皮紙」が発売されました。
「 マグダラで眠れ」や「World End Economica」など支倉凍砂の作品はいくつか読んできましたが、
ベストカップルといえばやっぱりホロとロレンスです!!!
またこの二人のやりとりが読めるなんて思いませんでした。
本の詳細・あらすじ
狼と香辛料 (18) Spring Log /支倉凍砂(電撃文庫)
――のうぬしよ、まだ旅は続くんじゃろ?
賢狼ホロと行商人ロレンスの物語、待望の続編が登場!賢狼ホロと、湯屋の主人になったロレンスの”旅の続きの物語”が、ついに文庫で登場。
ホロとロレンスが、温泉地ニョッヒラに湯屋『狼と香辛料亭』を開いてから十数年。二人はスヴェルネルで開催される祭りの手伝いのため、山を降りることになる。だがロレンスにはもう一つ目的があった。それは、ニョッヒラの近くにできるという新しい温泉街の情報を得ることで――?
電撃文庫MAGAZINEに掲載され好評を博した短編3本に加え、書き下ろし中編『狼と泥まみれの送り狼』を収録!
ホロとロレンスの”幸せであり続ける”物語を、ぜひその目でお確かめください。
行商人から湯屋の亭主へ
ホロとロレンスの中短編が3つと、「狼と羊皮紙」の主人公:コルといミューリの短編の計4つの短編が収録されています。
作中ではホロともに各地を巡った旅から十数年の時が経っており、すでにコルとミューリが旅立ってしまったあとのお話です。
ロレンスもすっかり行商人から村の住人に変わっていました。
正直湯屋を初めて十年以上たてば、村の一員としてすでに溶け込んでいるものばかりと思っていましたが、
本文で「ようやく村の住人として認められつつある」みたいなことが頻繁に出てくるので、どんだけ閉鎖的なと思わなくもなかったですが、
念願の自分の店を持ちホロと仲睦まじく暮らし、旅だった娘を二重の意味で心配しているロレンスは魅力的でした。
十数年って本編が二十歳だったとしてももう35前後だからね。おっさんですよおっさん。
でもロレンスはロレンスでした。
本編から十数年経っても激アマな二人
巧みな言葉のやりとりをしつつも、ホロの手のひらの上で転がされている感じが最高に読んでて楽しい。
そしてふいに見せるホロの無垢なとことかロレンスのかっこよさ。
これが狼と香辛料の魅力だったんだよなあと再認識しました。
あとがきによるとまだ少なくとも短編集があと1冊出るとか。めっちゃ期待してます。
旅の余白
スタートが「ホロの葬式」という、まさかの展開から始まる短編。
読んでいくと「そういうことなのね」と思う面白い試みでした。
旅先から届いたコルトとミューリの手紙に悶々とするも、娘に結婚を申し込みに来た村の少年には立派な父として振る舞ったりと、ロレンスを微笑ましく思ってしまった。
パパすげえ頑張ってるやん。
黄金色の記憶
ニョッヒラに来た不思議なお客をもてなすお話。
ホロの膝枕で眠っていたと思ったら、起きたら二人で枕を並べていたとかもう甘すぎる!
ハンナさんよくこんなラブラブ夫婦のもとで働けるな。
思い出の味ってあるよね。ロレンスが村の一員として認められたお話でもありました。
狼と泥まみれの送り狼
タイトルが秀逸。狼とは誰を指すのかなと。
村の話は腹の探り合いや駆け引きとは無縁の内容だったので、唯一本編のロレンスが垣間見れるお話でした。一番好きな話です。
ホロとロレンスは生きていける時間が違うから必ず別れは訪れる。二人の出した結論はたとえ別れが来るのがわかっていても、それを悲観するよりも今を全力で楽しく生きることだったんですが、
この話でようやくその後のことに触れました。「保険」という考え方はやっぱりロレンスの根底は商人なんだなと再認識。
あと天然のたらしですわ。
羊皮紙と悪戯書き
ホロと瓜二つの姿で、ホロよりも純粋でお転婆なミューリと、少年のころと変わらず真面目で純粋なコルの湯屋で働いているときのお話。
ロレンスとは違いコルにはしたたかさがないから絶対旅の中ではミューリに振り回されるんだろうなあと思います。
人の裏をかくというのができなさそうな二人がどんなふうに旅をするのか。「狼と羊筆紙」も読みたくなる短編でした。
久しぶりのホロとロレンスは最高でした。もう1冊でるのもすごい楽しみです!
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