【同人誌感想】総集編第2段!救いのない恐怖が少女たちを襲う!『幻想少女は其が怖い/五十嵐月夜(Escape Sanctuary)』

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幻想少女恐怖シリーズの総集編第2段。

うどんげとぬえの話しか持ってなくてそれ以前のは手に入らなくなってたので総集編を待ち望んでました。

出してくれてありがとうございます。

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本の詳細・あらすじ

幻想少女は其が怖い/Escape Sanctuary

「恐怖に諦観を覚えた先では、絶望がどこまでも私を待っている」

反転した世界に嬲られる天邪鬼。
存在の腐敗に涙する死体。
真の顔を秘する飛頭蛮。
己の瞳を御せぬ月の兎。
嘘偽りに喰われる鵺。
本来であれば彼女たちが恐怖することはなかったソレ。
だが、己の有り様ですらあったソレに裏切られたときにこそ、
人はソレを「最も恐ろしい」と感じるのだ――。
少女たちの抱く「最も恐ろしいもの」に着目した各巻完結型・
幻想少女恐怖シリーズ総集編第二弾。

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公式HP⇒幻想少女は其が怖い | 想像の巷

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鬼人正邪は転が怖い

弾幕アマノジャク後の幻想郷が舞台。

みんなから狙われ、いよいよここまでかと追い込まれた正邪の最後の抵抗は「みんなの害意を反転する」というものだった。

一夜明けるとあれだけ自分を敵視していた者たちが慣れ慣れしく接してきて宴会に誘ってくる。

豹変した態度に気持ち悪さを覚えながらも心のどこかで悪くないと思い始めた正邪ですが、歪に反転させたものがそうそううまくいくはずもなく…。

最初はめずらしくギャグかなと思いながら読んでましたが、次第に自分への想いが反転することの歪さがわかってくるのが面白い。

嫌いだったものが急に好きになったとき、当人のなかでどのような折り合いをつけたのか。

正邪はそれを身をもって知ることになりましたとさ。

針秒丸が笑顔で手を振ってたときの絶望感がすごかったです。

宮古芳香は腐が怖い

妖怪であることを忘れてしまった芳香が、死体のような自分の体を見て絶望しながらも体は化け物でも心は人間だともがく話。

自分は人間のはずなのに、光に照らされた体は死んでいて、朝日に怯え、さらにあるものを食いたいという衝動が押し寄せてくる。

いつ、どのようにして化け物になったのか全く記憶にないのに、否応なく突きつけられる自分が化物だという現実。

それでも、それでも自分の心だけは人間だと言い聞かせる芳香だが…。

最初っから救いがなく、ラストでさらなる絶望が待っているという、シリーズのなかでトップレベルの怖い話でした。

今回の総集編の中ではこれとうどんげの話が面白かったです。

赤蛮奇は顔が怖い

妖怪や人と仲良くならずに隠れるように生きてきた飛頭蛮の妖怪:赤蛮奇。

しかし趣味でやってた陶芸に惚れ込んだ男性が押しかけてきて彼女の生活は変わってしまう。

人間との仲が深まるほど妖怪の性が恨めしくなっていく赤蛮奇。

人間と妖怪の間に恋愛感情は芽生えるのか?

これまでの恐怖シリーズの中で異色な話だった気がします。

怖さというより、不幸しか待ってない展開に読んでて悲しい気持ちになりました。

…と、この話を読んだときは思ったんですが、ラストの書下ろしで不幸の連鎖が続いてたことに愕然。

鈴仙・優曇華院・イナバは視が怖い

うどんげの狂気の瞳が暴走し、意図してなくてもその瞳を見るだけで相手は狂気に囚われてしまう。

野良妖怪ならまだしも頼りにしていた師匠までもが狂気に囚われ…。

能力の異常よりも、うどんげの永琳への依存心による恐怖がありありと伝わってきて面白いです。

封獣ぬえは嘘が怖い

 ちょっとした悪戯のつもりだったのに…。

予想以上にみんながぬえの噂をするようになり、自分の身体が人々の噂に基づいて変わっていくという恐怖を体感するぬえ。

親しかった妖怪もぬえの姿を見てもぬえと認識できなくなり、徐々に自我が崩壊していく救いのないお話。

ぬえはもちろんだけど、おせっかいで焚きつけたマミゾウさんが哀れ。

あるいは某かの観測(書き下ろし)

総集編その1と同様、他人の思念・過去を見通せるキャラによるその後の幻想郷の一幕。

このシリーズはひとつひとつは短編でも、すべて同じ幻想郷で起きた出来事なのです。

あっちに行ってもこっちに行っても、起きた不幸の経緯や怨念が見えてしまう。

 例え自分は生者で不幸にあった妖怪とは関係なかったとしても、否応なしにその目に映るってのはつらいと思うんですが、それでも当事者じゃない。

今回の総集編で唯一恐怖の後遺症が残ったうどんげとの会話が印象的でした。

外から見てああだこうだいうことは簡単かもしれないけど当事者にとってはそれしかなかった。例えそれが最悪の次に悪い結果だとしても、ジリ貧でもそれしかなかった。

この幻想郷には、紅魔館の党首の吸血鬼や地霊殿を統べる覚り妖怪もいなくなり、人形遣いは入れ替わり、死は免れたものの兎や貸本屋の娘はトラウマを負ってます。

多分このままシリーズが進むと知ってるキャラは軒並み犠牲になるのかもしれない。

でも読むのはやめられない。今後も楽しみなシリーズです。

 総集編はありませんが、個々のお話はBOOKWALKERで売ってるので買い逃した方は是非。

鬼人正邪は転が怖い/五十嵐月夜[BOOK WALKER]

宮古芳香は腐が怖い/五十嵐月夜[BOOK WALKER]

赤蛮奇は顔が怖い/五十嵐月夜[BOOK WALKER]

鈴仙・優曇華院・イナバは視が怖い/五十嵐月夜[BOOK WALKER]

封獣ぬえは嘘が怖い/五十嵐月夜[BOOK WALKER]

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