【小説感想】『デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping? /森博嗣』

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Wシリーズ最新刊。

前の巻の引きがインパクトありすぎてずっと気になってました。

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本の詳細・あらすじ

デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping? /森博嗣 (講談社タイガ) 文庫

祈りの場。フランス西海岸にある古い修道院で生殖可能な一族とスーパ・コンピュータが発見された。施設構造は、ナクチュのものと相似。ヴォッシュ博士は調査に参加し、ハギリを呼び寄せる。一方、ナクチュの頭脳が再起動。失われていたネットワークの再構築が開始され、新たにトランスファの存在が明らかになる。拡大と縮小が織りなす無限。知性が挑発する閃きの物語。

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シキちゃんでてこんのかーい

とりあえず呼んで思ったのはこれ。

前回の終わりに人間とウォーカロンの子供が登場、しかも名前が「シキ」という重要人物確定なキャラが出てきたと思ったら

4巻では一切でてこなかった。

あれだけ期待させてお預けとかひどすぎですよ…。

「人間は子供産めなくなったけどウォーカロンは産めるぞ」っていう証明の為だけの登場でないことを願います。

絶対関わりのあるキャラだと思うんだけどなー。

人工知能の頭脳戦

今回の話ではこれまでで一番ドンパチしていました。ミステリとういよりはアクション。

前回ナクチュの遺跡で見つかった顔型の巨大コンピューター(通称:アミラ)。彼女の目的は「人類の共通思考を構築すること」(よくわからんけどすごそう)

アミラの指示によりデボラと言う名のトランスファ(PCウイルスみたいなのだと思う)がハギリ博士に接触を試みます。

実態を持たず、ネットワークを通じて、ウォーカロンや電子機器を体内に埋め込んでいる人をハックできるトランスファは、この世界では最強の存在です。

しかもアミラ一強というわけではなく、別の遺跡で見つかったスパコン(通称:ベルベット)と敵対しています。

ベルベットは「地球にはもう人類はいらないかな」って考えのスパコンで、それを阻止するためにアミラは戦ってます。

人工知能同士の頭脳戦に銃撃戦は面白かったです。

人間と人工知能の違いってなんだろな

このシリーズに出てくるウォーカロンは生体細胞でできており成長は早いかもしれませんが、幼少期を過ごし成人まで成長します。

人も身体を生体細胞と置き換えることで病や老いとは無縁の肉体を手に入れてます。

しかも記憶の容量を上げるためにチップを体内に入れていたりします。

こうなってくると人とウォーカロンの違いってわからなくなります。

そして今回でてきたネットに存在するトランスファ。

おおきな目標は母体となるスパコンに定められているものの、自ら情報を仕入れ分析し演算(=思考)するプログラムはもはや生き物で、そうなってくると人が施行するとどう違うのかなと。疑問を投げかけてきます。

肉体面はウォーカロンと違いがあいまいになり、思考(精神)面では人工知能と差がなくなってくる。

じゃあ人間を人間たらしめるのはどこなのかと。

読みながらそんなこと考えていました。

その答えの一つは作中にハギリ博士が提示してくれます。確かにそれは機械にはできないことなんんだろなと思います。

人間味が増してくるウグイがかわいい

 前の巻と言いこの巻といいエピローグでもってかれます。

最初は無機質な反応しかせず、ロボットのようなキャラだったウグイがこの巻では目をキラキラさせたり最後にはまさに人間らしい(人間なんですが)行動をします。

この「意外な一面」ってのも人間たらしめるものなのかもしれません。

まあ、そんな小難しいことは考えずウグイの行動に「こいつなんて可愛いキャラなんだ」って楽しむだけでも十分です。

4巻も面白かったです。あと2冊分はタイトルも決まっているみたいなので続きが楽しみ。

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