【ラノベ感想】悩める女の子たちの物語『ガーデン・ロスト/紅玉いづき』

本・漫画
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「人喰い三部作」で有名な紅玉いづきの作品。本屋で偶然見かけて面白そうだったので購入。

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本の情報・あらすじ

ガーデン・ロスト/紅玉いづき(メディアワークス文庫)

眠れない夜を生きる少女たちの失花園

 誰にでも、失いたくない楽園がある。息苦しいほどに幸せな安住の地。しかしだからこそ、それを失うときの痛みは耐え難いほどに切ない。

 誰にでも優しいお人好しのエカ、漫画のキャラや俳優をダーリンと呼ぶマル、男装が似合いそうなオズ、毒舌家でどこか大人びているシバ。花園に生きる女子高生が過ごす青春のリアルな一瞬を、四季の移り変わりとともに鮮やかに切り取っていく。

 壊れやすき繊細な少女たちが、楽園に見る者は――。

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悩める女の子たちの物語

舞台は携帯がそれほど普及していない少し前の時代のとある高校。放送部でゆるくやっていた3年生の女の子4人組エカ・マル・オズ・シバの4人の物語が4つの短編で綴られていて、それぞれが彼女たちの一人一人の話となっている。

読むの苦しかった。文章が下手とかでは決してなく(むしろ読みやすい)、どこか歪な内面を持つ彼女たちの物語が苦しい。それぞれが内面に抱えている問題は、他の3人にもわかっていて、それぞれの距離感を保ちながら仲良くやっていた4人が迎えた高校最後の1年。それぞれに自分と向き合うことが起き、徐々に彼女たちの楽園が壊れていって…。

一人称で話が進むため内面の描写が多く、彼女たちの持つ悩みや想い、友達だけど生まれてくる劣等感や優越感など濃く深く書かれている。頭ではわかっていても気持ちはどうしようもなく、矛盾しててもそれを受け入れてほしいという想いとか、華々しくなくても青春だなあと。4人はみんな女の子なので全部共感できるわけではないけど、誰にでも内に抱えるものはあるよね。

話ごとに主人公(語り部)が変わるので、自分で思っていることと他人から見たことの違いがあったりするのも面白い。

4つの中ではオズの話が好きだけど、表題作となるシバの話がすげえ痛々しくて印象に残った。学歴社会に縛られた母のもと親の期待に応えることも真っ向から反発もできず、受験日が近づくにつれて悩み、イライラし、友達にもあたってしまう…。

彼女らの関係を単なる友情の一言で片づけてはいけないような物語だった。

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