レミリア・スカーレットが幻想郷に来るまでの話を描く「レミリア・スタコージウシリーズ」
2019年5月に行われた例大祭にて頒布されたはつさんの新作です。
今回はなんと上下巻。「ストリゴイの夜」でレミリアとフランドールの過去を、「砂金の街の吸血鬼」で美鈴との出会いがあり、今作も紅魔館に関わるとある人物との出会いを描いています。
舞台はソビエト崩壊後まもないロシアから始まりアゼルバイジャンとアルメニアの間に広がる未承認国家ナゴルノ・カラバフへ。
本の詳細・あらすじ
世紀末オーボロテニ 黒き山岳/貴城はつ
hatuburgが贈る東方西洋時代小説。
舞台は西暦1993年。冷戦の終結と共に、世紀が幕を下ろそうとしていた時代。旧ソビエト連邦、アルメニアとアゼルバイジャンの国境、紛争地域ナゴルノ・カラバフに、レミリア・スカーレットは降り立つ。
――そこには、黒い髪の少女がいた。
「だからって、あんな無粋な鉄の塊に膝を屈するほど、私は、吸血鬼は落ちぶれちゃいないってーの……ッ」
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科学の発展により衰退していく異能を持つ人外達
タイトルの「オーボロテニ」とはロシア語で、人狼(ウェアウルフ)のことを意味しています。
人ならざる者たちは昔は人々に恐れられて絶対的な力を奮っていました。
しかし科学が発展していくと今まで超常現象と思われていたことも解明されていきます。
種がわかれば恐れることもなくなり、噂や恐れが力となる人外たちは当然その力が弱まってしまいます。
そしてそれは吸血鬼であるレミリア・スカーレットも例外ではなく。全盛期の頃とは比べものにならないくらい人外の力が使えなくっています。
それでもカラシニコフを担いで単身で戦車を備えた軍隊へと立ち向かう姿はかっこよかった。
「だからって、あんな無粋な鉄の塊に膝を屈するほど、私は、吸血鬼は落ちぶれちゃいないってーの……ッ」
現代兵器はレミリアを屠るのに十分な火力があり、レミリアも魔力の使用は限られてるとなるとギリギリの戦いになります。手に汗握る戦闘は読み応えがありました。
慈愛溢れる部分と吸血鬼としての矜持を持つ部分との二面性がかっこいい
レミリアと美鈴が訪れた紛争地域のナゴルノ・カラバフで、彼女たちはひとりの少女と出会います。
劣悪な環境の村で、そのなかでも特に人として扱われない少女に対しレミリアは優しく接します。
村の状況は変わらずとも少女の扱いだけでも良くしようと振る舞うレミリアは王の風格と慈愛の心を持ち合わせててついてきたくなります。
でもまさかその少女があんなことになるなんてなあ。(最大のネタバレになっちゃうので秘密)
上巻で起きた出来事を下巻でどうやって原作の設定に帰着させるのか。
続きは来年らしいので首を長くして待ってます。
貴城はつさんの作品は西洋歴史と東方の原作との融合がすごい!
同人誌ではなく西洋歴史小説を読んでるんじゃないかってくらい濃厚な作品です。多くの人に読んでほしい!
別記事でどんなにすごいかをまとめました!
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