【小説感想】それぞれの事件に関わる「髑髏」の真実とは『狂骨の夢/京極夏彦』

本・漫画
記事内に広告が含まれています。
LINEで送る
Pocket

このシリーズは1回読むのに体力がすごいいるのでその気になるまでずっと積んでました。ようやく3巻。

スポンサーリンク

本の情報・あらすじ

狂骨の夢/京極夏彦(講談社文庫)

夫を4度殺した女、朱美(あけみ)。極度の強迫観念に脅える元精神科医、降旗(ふるはた)。神を信じ得ぬ牧師、白丘。夢と現実(うつつ)の縺(もつ)れに悩む3人の前に怪事件が続発する。海に漂う金色の髑髏(どくろ)、山中での集団自決。遊民、伊佐間、文士、関口、刑事・木場らも見守るなか、京極堂は憑物を落とせるのか?著者会心のシリーズ第3弾。

スポンサーリンク

それぞれの事件に関わる「髑髏」の真実とは

京極堂シリーズ第三弾。

今作は複数の一見関係なさそうな事件が進むにつれて徐々に繋がっていきやがて一つの真実へとたどり着く形式で、その各事件がつながり始めるまで、つまり京極堂が出てくるまでが全然進まない。

前半は主要人物が出てこないし、事件のメインとなる朱美の体験と、その話を聞く元精神科医:降旗の精神分析がとにかくまどろっこしい。事件の発端なんだけどとにかく長い、そしてわからない…。

朱美の相談は、8年前に首を切り落とされて死んだ夫が現れた、というものだった。しかもただ現れたというだけでなく、朱美は現れた夫を殺害し首を切り落としたという。しかし数日後、再びその男が現れ、朱美は再度夫を殺害し首を切り落としたのだと。

これだけでも事件ではなく幻覚か何かだと思ってしまうが、他の人物たちもおかしなことを内に秘めており、それらに共通するものは「髑髏」だった。

折り返しを超えたあたりからようやく京極堂が登場し各事件のメンバーを集めて関連性を見出していく。ここからはこれまでのよく分からん事件たちが一気に動き出すので面白くなる。妄想としか思えないようなことも心理学・宗教など様々な薀蓄を披露しながら一つ一つに意味を持たせていき、事件に関わる複数の人物に同時に憑物落としをする京極堂はさすが。

終始不気味な雰囲気を漂わせながらも緻密に組こまれた事件や人間関係が面白い巻だった。あと前巻の久保の弔いを行ってるのが良かった。これでようやく前作が完結した気がする。

LINEで送る
Pocket

コメント

タイトルとURLをコピーしました