【小説感想】“美”にかける執念『モンスター/百田尚樹』

本・漫画
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美しくなることだけに人生のすべてをかけた女性の物語。その姿勢は狂気そのもの。

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本の情報・あらすじ

モンスター/百田尚樹(幻冬舎文庫)

田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった――。

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“美”にかける執念

百田尚樹作品3作目。まだ3つしか読んでないけどこの人の作品どれもジャンルが違いすぎて驚く。しかも深く掘り下げてるし。

この話はいわゆる“醜いアヒルの子”の話。度を超えた不細工な顔のため周囲から壮絶な苛めにあう。童話ではアヒルの子は成長したら実は美しい白鳥だったという話だが、この醜いアヒルは自然に任せるのではなく金と努力により美しさを獲得していくのがポイント。

美の底辺から頂上まで上り詰める間に主人公は、不細工が学校・社会でどんな扱いを受けるか、不細工から見た美人のイメージ、美人がどういう扱いを受けるか、美人の見る世界をすべて体験していく。怖えよ。でも色恋沙汰に限らず外見を全く重要視しないって人はおらんやろうしリアルではある。

作者は男性のはずだけど「美」について、顔の与える影響特についてがっつり書いてるのがすごい。メインとなる整形手術は当たり前だが初めて聞く事ばかりだった。化粧も整形も理想の美に近づく手段ってのは一緒だけどどうなんだろね。

あと美しくなるたびに社会的な地位が向上していくこと、そして外見と内面の美醜はある程度比例するってのも読んでて面白かった。とくに内面は「周囲から愛されて育てられたら優しい人間に。嫌われて育ったら荒んだ人間に。」ってのがよく分かる。

そこそこのページ数があったけどさらっと読める。中盤が一番面白くてあとはその勢いで読んだがオチは微妙かも。まあでも崎村が男前だったので良しとしよう。

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