【小説感想】『スロウハイツの神様/辻村深月』現代のトキワ荘で繰り広げられるクリエイター達の群像劇

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 V.T.R.を買ったのでそれを読む前にスロウハイツの神様をおさらい

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本の情報・あらすじ

スロウハイツの神様/辻村深月(講談社文庫)

(上巻)

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ――あの事件から十年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。

(下巻)

莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。そんな中、あの事件の直後に百二十八通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った一人の少女に注目が集まる。彼女は誰なのか。そして環が受け取った一つの荷物が彼らの時間を動かし始める。

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辻村深月作品の中でトップクラスで面白い!!伏線の回収が神がかっている!

と思います。個人的にはこの作品と「冷たい校舎の時が止まる」「オーダーメイド殺人クラブ」が3強。次点で「ぼくのメジャースプーン」

現代のトキワ荘「スロウハイツ」で切磋琢磨するクリエイターたち。脚本家・漫画家・小説家・画家などそれぞれ違う分野でいながらもお互い刺激し合い日々を過ごしていく。

再読だからこそわかるけど、伏線の貼り方とその回収の仕方が素晴らしい。物語の序盤の何気ない文章も伏線だったりとほんと細かい。後半で盛り上がり最終章で一気にまとめていくのでページをめくる手が止まらなかった。わかってても面白いし読後感はとても良い。メインの謎ではない「ダークウェル」についても序盤から伏線張ってたのは気づかなかった。

物語の構成以外にも登場人物の自分の作品に対する姿勢もちゃんと書かれているのも良かった。それぞれ譲れないところがあり、それゆえの葛藤もあるが最後はみんな前を向いているのが良かった。

特に正義がかっこいいなあ。「まぁ、なんていうか。あらゆる物語のテーマは結局愛だよね」(下巻471ページ) このセリフ最高。

これ読んだ後は「光待つ場所へ」に収録されてるチハラトーコの短編もぜひ読んで欲しい。本編では悪役でしかなかった彼女が主人公でこの人物も譲れない部分があるのがわかる。

 さらにチヨダコーキの作品として出された「V.T.R」もおすすめ。環の解説に涙が出そうになります。 

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