患者さんの浮腫を改善するために利尿剤であるラシックス注を投与することがあります。
ラシックスの利尿作用を使って身体の水分を外へ出すんですね。
患者さんによってはそこに加えてアルブミンが処方されることがあります。
「アルブミンとラシックス、どっちから投与すればいいのだろうか?」
製薬会社に問い合わせ確認したところ、
献血アルブミンを先に投与し、そのあとラシックスを投与する
なんでその順番なのかを調べたのでまとめます。
浮腫とは細胞外に水がたまった状態のこと
浮腫とは体内の水分が血管から組織に過度に移行し、細胞外に水分がたまった状態を指します。
一日中立ちっぱなしでいると足がむくんだりするのは、立ちっぱなしで下半身に血液がたまり、血管から水分が組織に出ていくためです。
立ちっぱなし足がむくむのは血液の循環が鈍くなるためですが、それ以外にも血液の血液以外の水分量のバランスが崩れることが浮腫の原因にもなります。
正常なときは、血管の中と外の水分はタンパク質濃度の差による浸透圧によって均等に保たれています。
しかし何らかの原因で血管内のタンパク質濃度が低下すると、浸透圧が変化し血管の外に水分が移動してして浮腫が生じます。
他にも浮腫の原因には腎臓が悪くて水の排せつが上手くいってなかったりなどもありますが、アルブミンとラシックスを組み合わせて投与するのはこの浸透圧のバランスが崩れた場合です。
利尿薬のラシックスで血管内の水分を減らす
ラシックスはループ利尿薬であり、水分を身体から出すために投与されます。
尿量を増やすことで体内の水分を減らします。それによって浮腫の改善を目指します。
では尿はどうやってできるのかおさらいです。
血管を流れる血液が腎臓を通過すると、余分な水分や老廃物がろ過されて膀胱に溜まり尿になります。
つまり尿は血液からできます。
なので浸透圧のバランスが崩れて血管内の水分(血液)が少ないと、利尿薬を投与しても期待するほどの効果が得られないことがあります。
献血アルブミンの役割は血液のタンパク質濃度を増やすこと!
浮腫の改善には利尿薬を投与するが、それだけでは細胞外に溜まった水を減らせないときがあります。
そんなときに献血アルブミンを投与します。
もともとアルブミンは血漿タンパク質の60%を占める血液内で最も量の多いタンパク質です。
浮腫がひどいときは血管の中(血液)と外(細胞外液)の浸透圧のバランスが崩れている、つまり血液内のタンパク質濃度が下がって浸透圧が低くなっているからです。
そのバランスを戻すために献血アルブミンを投与します。
献血アルブミンを投与することで浸透圧のバランスを戻し、血管の外から内へ水分を移動させます。
献血アルブミンで血液を増やしてラシックスの利尿作用を増強する
つまり献血アルブミンで血管内のタンパク質濃度を増やす
↓
浸透圧のバランスを戻し細胞外から血液へ水分を移動させる
↓
ラシックスの効果を上げる
という流れになります。
献血アルブミンとラシックス注では、先に献血アルブミンを先に投与するのが効果的です。
参考HP
おしっこ元気ですか?/大阪府立急性期・総合医療センター 腎臓・高血圧内科
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