『東雲』シリーズが面白かった森橋ビンゴの新しいシリーズ。
この前のニコカド祭りで50%オフだったので大人買い。
「性同一障害」という重たいテーマに正面から切り込む作品で面白くなりそう。
いろんな人に読んでほしい作品だと思う。まだ1巻だけだけど。
本の詳細・あらすじ
この恋と、その未来。 -一年目 春- /森橋ビンゴ(ファミ通文庫)
『東雲侑子』のコンビで贈る、ためらいと切なさの青春ストーリー登場。
超理不尽な三人の姉の下、不遇な家庭生活を過ごしてきた松永四郎。
その地獄から逃れるため、新設された全寮制の高校へと入学を決めた彼は、期待を胸に単身広島へ。
知らない土地、耳慣れない言葉、そして何よりもあの姉達との不条理な日々から離れた高揚感に浸る四郎だったが、
ルームメイトとなった織田未来は、複雑な心を持つ……女性!?
四郎と未来、二人の奇妙な共同生活が始まる――。
『東雲侑子』のコンビで贈る、ためらいと切なさの青春ストーリー。
体と心の性別が違う相手とどう接すればいいのか…
ハーレムもののキャラの一つとしてボーイッシュな女の子はよくいます。
男勝りな性格や見た目で主人公から最初は男と間違えられるも実際は「女の子らしくありたい」と願うようなキャラ。
どのハーレムものラノベにでも一人はいそうなキャラです。
でもこれは違う。
女だらけの家から解放されたかった四郎が選んだのは東京から離れた広島の高校。全寮制の高校で相部屋になった相手は性同一障害を抱える体は女だけど心は男の織田未来だった。
未来の希望を叶えるため男性として扱うことを高校側は決め、家族が女だらけで女性慣れしてると思われた四郎は生徒で唯一未来の秘密を知りフォローしていくことを頼まれる。
同性間の恋愛とかの話が出て来てもまだまだ日本じゃマイナーで世間の目も冷たい。
男として生きていきたいけど、自分が特殊な部類の人間だと自覚している未来は希望通りに男として高校生活をエンジョイするためにどこかで自分を抑えたり無理をしてて、そこが切ない。
四郎以外にはばれずに過ごしてるんですがどこか薄氷を歩いてるような危うさでハラハラする。
料理を作るシーンで「お前ええお嫁さんになれるで」(原文は広島弁)って茶化す同級生に固まってしまったり。言われたのが普通の男ならノリ突っ込みでもして笑わせておわるんですが、
未来は女として見られたくないから冗談にならず傷ついて部屋に戻ってう。といったのがあったり。
性同一障害の人がどう現実に向かってるかを、しかも思春期というただでさえ不安定な年代の子供たちを主人公にして書いてるのが読んだことがないのですごい面白い。
ラノベで扱うようなテーマじゃないかもしれんけど、引き込まれた。
友情と恋愛どっちをとるのか
未来は「自分を男として接してくれる男友達が欲しい」と思っていて、四郎になってほしいと言います。
今まで自分がおかしいと周囲に言われ続けた未来は、本当のことを打ち明けられる友達なんていなかった。中学は女子校だし、幼馴染の男の子とは仲が良かったけど向こうは異性として未来を見ていたり。
もし自分同性から性的な目で見られると思ったらたまったもんじゃない。
事情を打ち明けられた四郎は未来とうまくやっていくんだけど、だんだんとずれてきます。
そりゃそうだ。いくら男として見るだって言われても見た目はキレイな女で、しかも相部屋だから否が応でも女を意識する場面に出くわします。
未来とは男の親友として接していても四郎の中では未来を女性として意識し始めていて…。
やばいよなあ。どう転んでもハッピーエンドにはならなさそうなんですが。主人公の恋愛が成就する=未来の人格を否定することになるし、
どういうふうに物語が動くか予想がつかない。ただどっちにしろ単純なハッピーエンドにはならないのだけはわかる。めっちゃ続きが気になる。
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