【小説感想】本気でバカやる青春時代『キケン/有川浩』

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有川作品は外れがないのがすごい。痛快爽快な大学ライフ。これ読んでると学生の頃に戻りたくなります。

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本の情報・あらすじ

キケン/有川浩(新潮文庫)

ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称【キケン】。部長・上野、副部長・大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。

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全力でバカをやる青春

青春ものの小説(スポーツとか)って主人公が中高生のものが多い印象なんだけど、この作品は大学生がメインとなっている。ちなみに話の主人公は表紙で堂々と映ってる2人ではなく隅っこで「嘘だ!」と叫んでる冴えない男。

痛快で面白く、読むと大学生に戻りたくなる本。

大学生になると一人暮らしやアルバイトお酒といったそれまでにしてこなかったこともできるようになり自分の世界が広がるんよね。そして割と自由の利く大学生活でどうやって過ごすか。

そんな大学生活をこんな先輩や同期たちと過ごせたらどんなに素晴らしいか。

どんなに馬鹿な事でも全力で取り組むキケン。全力だからこその面白さ・楽しさがあって、そこでしか得られないものも絶対ある。

現時点で大学生たちがやんちゃする話じゃなくて、主人公:元山が妻に思い出話を聞かせるという構成も良かった。各章の終わりに入る「あの頃はこんなんだったんだよ…」っていう会話が過ぎ去った青春時代がどれだけ輝いてたのかって認識させられるし読んでて自分の学生時代を思い出す。

そして最後の章。自分たちが作り上げてきものが後輩に受け継がれていてるのを実感し後のあれは反則。あそこで一気にきた。

――俺たちは【機研】だ。【機研】は俺たちのものだ。

今は違う。でも。

俺たちは【機研】だった。【機研】は俺たちのものだった。

その時代は消えない。なくならない。思い出せばいつもそこにある。

それはなくなったのではなく、

宝物になった。

全力無意味、全力無謀、全力本気。

―― 一体あんな時代を人生の中でどれほど過ごせるのだろう?    

 (本文341頁)

どうあがいても学生時代には戻れんし今を全力で生きるしかないんやけど、それでもあの頃の楽しさは味わうことはできんのだろうなあ。青春っていいなあ、学生が羨ましい。

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