【小説感想】大衆の信じる虚構は真実を駆逐する『虚構推理/城平京』

本・漫画
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2012本格ミステリベスト10第4位!第12回本格ミステリ大賞受賞作!!という評価にそそられて。

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本の情報・あらすじ

虚構推理/城平京(講談社ノベルズ)

 深夜、悲運のアイドルの亡霊は鉄骨を片手に街を徘徊する。その都市伝説の名は――鋼人七瀬。

 「そんなの推理じゃなくて、欺瞞じゃない!?」

 真実を求めるよりも過酷な、虚構の構築。自身もまた怪異的な存在である岩永琴子の推理と知略は本物の怪異が起こす事件を止めることができるのか!?

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一風変わった本格ミステリ

表紙の絵は今回の事件の原因であるアイドル:七瀬かりん(通称:鋼人七瀬)ステージ衣装を身にまとっているがその顔

判別できないくらい黒くつぶれており身長よりも長い鉄骨を片手で振り回すという都市伝説が具現化した怪物。

この亡霊が出現した原因は人々の噂

「この前深夜が不審な人物に襲われたって事件あったじゃん。あれ七瀬かりんの亡霊らしいよ。」「え、七瀬かりんってこの前死んだアイドル」「そうそうなんでも世間に復讐するためだとか」「何それこわーい。」

「もう何人も襲われたんだって」「なんでも顔がないらしいぜ」「鉄骨振り回してくるとか聞いたわ」「テレビで着てた衣装で現れるんだってさ」「おっぱい強調されてるあれね」

「目撃者もけっこういるらしいしなんかもうそろそろ誰か殺されそうじゃね」「そうなったらやべーじゃん」

結果、鋼人七瀬の存在が確固としたものになる

まさにワラキアの夜!!と読んでて思ったのであった。

事件解決のために真実を追求するのではなく、「鋼人七瀬がいてほしい」と思う人たちに「鋼人七瀬がいない」と思わせるためにそれっぽいウソをつくことなのが面白い。

既に明らかになっている情報とは矛盾せずに鋼人七瀬の噂を信じてる人にそんなものはいないと思わせる。ある意味真実を追求するよりも難易度の高いことをしなければならず、終盤の虚構を展開する場面は圧倒的。

実際にありえそうな嘘を展開し、しかもそれを複数叩き込む勢いとその周到さはページをめくる手が止まらなかった。

シリーズ化するのなら続きも買います。

ひとつ残念なが点があるとするなら九郎の能力の描写がよくわからんかったこと。岩永と九郎が協力しての勝利だけど今いちピンとこなかった。まあ文章化するには難しい能力とは思うけど。

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