結婚って大事なイベントですよね。でもみんながみんな素直に喜んでいるというわけでもなく…
本の情報。あらすじ
本日は大安なり/辻村深月(角川文庫)
一世一代のたくらみを胸に秘める美人双子姉妹、
クレーマー新譜に振り回されっぱなしのウェディングプランナー、
大好きな叔母の結婚にフクザツな心境の男子小学生、
誰にも言えない重大な秘密を抱えたまま当日を迎えてしまった新郎。
それぞれの思惑と事情が臨界点に達した、そのとき――。
世界一幸せな一日を舞台にした、パニック・エンターテインメント長編の大傑作!
結婚式場で起こる4つの物語
最近文庫版がでましたね。もうちょい待てばよかったよ…。
結婚式。それは夫婦において最大ともいえるイベント。多くの人が思い出に残る最高なものにしたいはず…しかし、すべての人が幸福というわけではない。
この物語では結婚をする当事者から、その親類、はては結婚式を提案するプランナーと様々な人の話が出てきます。同じ日に同じ建物で行われる結婚式にそれぞれの物語がある。短い間隔で主役が切り替わり、それぞれの抱える悩みが徐々に明らかになってくるのが面白い。
また、同じ建物、同じ空間のはずなのにそれぞれの主人公によって見方が全然異なるのも印象的だった。
双子ならでは(?)のゆずれないもの
4つの物語の中で一番面白かったのが双子の話。結婚当日にそんなことするかと思うようなことを(物語としてはよくあるのかもしれんが)行い、しかも双子の姉・妹それぞれの胸の内に秘めていることがなんか怖かった。女のドロドロした内面というかこういうのは辻村深月の得意分野っぽいよね。
「あなたが結婚する相手に求める条件を、三つ挙げてください」
「ではその三つの条件を同じように満たす相手が二人現れ、あなたに求婚します。あなたはそのうちどちらかと一人としか付き合うことができず、実際にその一人を選びました。――決め手となったのは何ですか?」
決断の根拠となる「決めて」が、実は、あなたが心の中で一番譲れないと思っている条件なのです (本文 146,147ページ)
双子ならではの許せること・許せないことがあり、妹の求める結婚相手の譲れない条件は「鞠香ではなく、どうしても、私でなければダメだという人」(本文150ページ) 自分には双子はいないのでわからんがそっくりな双子だからこその意見だなあと。
あとは山井多香子のプロ意識の高さとか、陸男のダメ男っぷりとか、真空の想いとかそれぞれの物語もよかった。いや陸男は良くはないか。
やっぱ結婚式って大事だよね。確かに高額だけど基本的に人生において一度しかないわけで、それを最高のものにしたいがためにかけるお金だけでなく、日付にも気を配る。それをするだけの価値があるものだと思うし、自分のときも思い返してよかったなあと思えるものにしたい。
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