東方projectのキャラクターが恐怖のどん底に叩き落される幻想少女恐怖シリーズ。
この冬に出た新作のターゲットは守矢神社の現人神:東風谷早苗。
終始救いのない、というかラストのダメ押しがほんとにきつい作品でした。そこが面白いんですが。
あらすじ
東風谷早苗は神が怖い/五十嵐月夜(Escape Sanctuary)
十年前、別れを告げた故郷をふと思い出した早苗は、過去の決断を出汁に、帰郷をちらつかせる諏訪子になじられる。布団に逃げ込んだ早苗が目を覚ますと、そこは実家の寝室だった。
重い身体は、正しく二十七歳になり、風祝としての力を失った外界の早苗のもの。諏訪子の言葉通り、夢から覚めたように早苗は外に追い出されたのだった。
祟られ、不調に喘ぐ彼女は、見えないが『居る』諏訪子に畏れを抱く。 特別でない自分は、あまりに無力だ。
身近な神は、こんなにも恐ろしい。
しかし、諏訪に覚えた違和感に、現実に存在する幻想郷への帰還を決意し、知己を頼るべく、早苗は一路東京へと向かう。
だが、己の求める故郷へ手を伸ばした早苗は知る由もなかった。幻想郷に、彼女の居場所はもうないことを。恐るべき神が、非力な彼女を待ち受けていることを。
少女たちの「最も恐ろしいもの」について述べた、各巻完結型・幻想少女恐怖シリーズ第15弾。
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pixivで冒頭部分が読めます!
自分の知らない自分が歩んだ10年
作中で早苗は27歳の自分、幻想郷に来てから同じだけの時を経た自分の体で目を覚まします。
部屋には大学時代のものと思われる写真があったり、スマホがあったりと自分がいたころと大きく変わっていました。
10年もの間、自分の知らない経験をしてきた自分は果たして本当に自分と認識できるのだろうか?
きっと無理です。
これが10年間昏睡状態とかなら目が覚めても記憶が連続しています。自分も周りもそこで止まっていたからです。でも普通の人間として歩んできた自分に急に入ってもそれは自分とは思えないとはず。だって早苗は幻想郷にいて別の10年を歩んでいたから。
自分というアイデンティティが崩れてくのはアリスの話にもあり、救いがないです
早苗に降りかかる祟り
外界に戻った早苗は謎の体調不良に加え、諏訪子の視線に常に怯えながら生活しています。
これまで当たり前のように接してきた神様が見えず現世に戻された罰がいつまで続くかもわからない
仲良くしてきたとはいえ相手は恐れ多い神様だったということを再認識させられます。
いるってわかってても見えない聞こえない触れられない。なまじ知ってるだけ怖い。
そして這う這うの体で幻想郷に帰った早苗に降りかかる絶望と神の早苗に対する反応、どれも救いがなくてこれまでのシリーズトップクラスの絶望でした。
中身はどうあれ「早苗」という存在がいればいい諏訪子たちの反応もですが、早苗の不調の原因が判明するラスト数行がどん底に叩き落としてきてすごかった。
いやいやまさかと思いながら読んでたらそのまさかでこれからの早苗を思うとほんとつらい。いっそ死んだほうがマシだと思えるくらいの絶望でした。
終わりに
最悪を想定して読んだらまさにその通りで救いがなくて面白かったです。
いろんなキャラが不幸にあっていて、それぞれの話は個々で完結しているんですが、そのキャラが不幸に見舞われたことによる綻びが別のキャラに影響をあたえていて、このままいくと幻想郷はどうなってしまうのだろうか。
次は誰が犠牲になるのか楽しみです。
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